オンライン瞑想プログラム「Finders Course」の最初のころに見た動画で、時間があるときにポイントを紹介しようと思っていた動画に「7 Myths of Fundamental Wellbeing」というのがある。ちょっと時間があったので、簡単に内容を紹介し、僕の意見なども述べてみたいと思う。

mythというのは「神話」というのが直訳だけど、日本語的には「誤解」という感じがいいかなって思うので、7つの誤解というタイトルにしました。


誤解①変性意識こそが悟り


ピーク・エクスペリエンスを追い続けるなという記事に書いたんだけど、「もう幸せで幸せでどうしようもない」という感覚に何度かなったことがある。何をしていても幸せで、世界中の人たちに愛を届けたいと思ったし、その感覚が2、3日続いた。

この感覚のことをJeffery A. Martin教授は「根本的幸福感のピーク・エクスペリエンス」と呼ぶ。人によって、感じ方は様々なんだけど、統計的には2割ぐらいの人が、この幸福感を味わったことがあるはずらしい。

僕の友人のカワちゃんも、先日ヨガのあとにこの感覚を味わったって、メールで報告してきた。「帰り道で駅員さんにまで微笑みたくなりました。とても幸せで、驚いたことに次の日もこの感覚が続いていたんです。でも再現性がないんです。どうすれば、もう一度あの感覚を味わえるのか、いろいろ試しているんですが」。

Martin教授によると、こうした変性意識を味わえた人は本当にラッキー。実際、世の中にこんなに気持ちがいいことがあったんだろうか、という気持ちになる。でも一方で、この感覚を再現したいという思いに駆られるというマイナス面もある。僕やカワちゃんもそうだけど、「もう一度、あの感じになりたい」って強く思う。人によっては、あの感覚をもう一度味わおうと、宗教やスピリチュアルなアクティビティに没頭したり、長年瞑想などの修行を続けたりする。でもほとんどの人が、なかなか再現できないで困っている。

このピーク・エクスペリエンスが落ち着いて、心理学者マズローが言うところの「より静かな高原のような感覚」に入れるのは、0.5%くらいの人だという。【関連記事:マズローの欲求5段階説にはさらに上があった。人類が目指す自己超越とは TransTech Conferenceから】Martin教授は、この感覚のことを「根本的幸福感のピーク・エクスペリエンス」に対して「継続的根本的幸福感(Ongoing Fundamental Wellbeing)」と呼ぶ。より学術的な表現としては心理学で「PNSE(継続的非シンボリック経験)」と呼ぶ感覚と同じことだそうだ。

なぜ「継続的」な状態になりにくいのか。Martin教授は「ピーク・エクスペリエンスを追い過ぎるからだ」という。

ピーク・エクスペリエンスにはいろいろな幅があり、物静かなんだけど、宇宙の神秘や謎が全部解けたような感覚になり、人生が激変するタイプの体験もあれば、ものすごいエネルギーで全身が包まれて、幸せで、幸せで仕方がないような体験もある。僕が過去に何度か経験したのは、後者に近い。

「継続的な」状態は、興奮状態ではなく、より物静かな状態でありながら、ピーク・エクスペリエンスのような幸福感を心の奥底で感じている状態なのだという。脳波を調べても、ピークと継続的の脳波は似ている部分もある一方で、まったく逆の部分もあるという。やはり、異なる意識の状態ということだ。

ピーク・エクスペリエンスや変性意識にこだわることなく、より静かな幸福感を味わえるように、感覚を研ぎ澄ましていくべきなんだろうな。



誤解②悟りへの道は一つしかない

根本的幸福感へたどり着く方法は実は幾つもある、とMartin教授は言う。キリスト教にはキリスト教のやり方、仏教には仏教のやり方、スピリチュアルにはスピリチュアルのやり方がある。

大事なのは、そのときの自分の人生のフェーズ、自分の意識状態に合った方法を実践することだ、と同教授は指摘する。自分に合わない瞑想方法を何年続けていても、根本的幸福感には到達しない。一方で、自分に合う方法に出会えば、1週間で、ときには1回の瞑想で、根本的幸福感にたどり着くことができるという。

僕が今、受講しているオンライン瞑想プログラム「Finders Course」は当初、Martin教授の研究の一貫として行われていた。調査研究の結果、どれだけすばらしい瞑想方法でも、その1つの瞑想で根本的幸福感にたどり着けるのは、ごく少数の人しかいなかったという。一般的に「悟り」に到達するのが難しいと思われているのは、同じ瞑想法を永遠続けているからなんだという。


ところがが、Finders Courseではいろいろな瞑想を次々と試す。最初のほうに紹介された瞑想法で根本的幸福に到達する人もいれば、最終週の瞑想法で到達する人もいる。これまでに受講した数百人のうちの7割が継続的な根本的幸福に到達したという。要は、そのときの自分に合った瞑想法に出会えるかどうか。出会えれば、比較的簡単に根本的幸福感に入れるのだという。




誤解③悟りに到達するには長年の修行が必要

「悟り」の定義にもよるんだけど・・・。日本語で「悟り」というと物欲がまったくなくなった仙人のようなイメージ。それって根本的幸福で言うところのロケーション4に当たる。詳しくは「悟りってどんな状態?」悟った50人に心理学的手法で詳しく聞いてみた結果とは TransTech Conferenceから
という記事に書いたけど、どのロケーションでもベースは満たされた心。違いはロケーション1は、自我が宇宙に溶けてる感じ。2では、それが少し離れ、3はもう一度別の形で融合。ロケーション4は、まるで仙人のような感覚だ。

でも大事なのは、仙人のようになることではなく、根本的幸福に入ること。「欠乏の心」から「満たされた心」への移行が一番大事で、移行後に、自分の心が望むのであれば、ロケーションが進行していき、仙人のような状態になる人もいる、というだけのことだ。僕個人としては「満たされた心」の状態に入って、毎日ご機嫌でいるだけで十分満足なんで、ロケーションを先に進めたいとは思っていない。なので、進まないと思う。

仙人のようになることではなく、満たされた心の状態に入ることが、多くの人にとって最も重要で、それを「悟り」と定義するのであれば、上記のように数週間でなる人もいるし、一回の瞑想でなれる人もいるとMartin教授は指摘する。




誤解④宗教やスピリチュアルのリーダーたちは、ほかの人たちも根源的幸福感に導くことができる

残念ながら、調査の結果は全く逆らしい。Martin教授の研究に協力したスピリチュアルリーダーで、弟子を根源的幸福感に導けた人は一人もいないという。なぜなら根源的幸福感に入った人は、もとの意識状態がどのようなものなのかを覚えていないからだ。なので的確なアドバイスができない。

これは僕も実感している。宗教家やスピリチュアルリーダーの話を聞いたり、本を読んでも、根源的幸福感に入れないと思う。彼らの言っていることが間違っているわけではない。正しいことを言ってるんだけど、その状態にどうやって入ったか、彼らは覚えていない。結果を述べることはできるが、プロセスを説明できないのだ。

例えば、多くのスピリチュアルリーダーは「恐れを手放せ。しがみつくな」と言う。「苦しみの壺の中に恐れがある。あなたは、その壺に手を入れて恐れを握りしめているから、細くなった壺の口から手を抜けなくなっている。恐れを手放してごらん。そうすれば苦悩の壺から手を抜き取ることができるから」。

わかりやすい例えだ。僕も恐れにしがみついている人を見かけると、「ああ、壺から手を抜け出せないでいるんだな」って思う。

でも恐れにしがみついている本人からすれば、「恐れを手放すだけでいい」と言われても、どうすればいいか分からない。それができないから困っているのだ。

「苦しみを否定しないで、味わいつくせばいい」「ただ自分の本質に気づくだけでいい」「今、ここにあれ」などというアドバイスなんかもそうだ。根本的幸福に入っている人からすれば的確な表現なんだけど、入っていない人にとっては、まったく効果のないアドバイスだ。「何なんだよ、今、ここって」と多くの人は思っている。経験したことのない人にとって「今、ここ」の感覚など、分かりようがないからだ。




誤解⑤悟り、ワンネス、根源的幸福は1種類しかない

Martin教授によると調査の結果、根本的幸福にはバリエーションが幾つもある。特徴をまとめると幾つかのグループに分けることができた。同教授はそれを、ロケーションという形に分けた。レベルという呼称にしなかったのは、進化するのが望ましい、という価値観ではないからだという。詳しくは【関連記事】「悟りってどんな状態?」悟った50人に心理学的手法で詳しく聞いてみた結果とは TransTech Conferenceから という記事にあるけど、普通の社会生活を送るにはロケーション3ぐらいが一番楽しいかもしれない。

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誤解⑥「悟り」「覚醒」には正しい形がある

でも僕はロケーション1や2でも全然楽しい。とにかく心の奥底に恐れがある状態から「満たされた心」の状態に入れただけで満足。

人によって「こういう状態が好き」という好みがあるだけど、だれにとってもこの状態の「悟り」や「覚醒」が正しい、ということはない、とMartin教授は指摘する。「家族や仕事が大事だと思う人は、そうした価値観を維持できるロケーションが、その人にとっては最適だ」と語る。

確かにロケーション4になって欲が一切なくなり仙人のような生活をするのもなあ・・・。でもロケーション4に入った人は、ロケーション4が一番幸せだと言うらしい。

「悟り」を仙人のような生活と考えること自体が、誤解かもしれない。





誤解⑦宗教やスピリチュアルの本を読んだり、話を聞いて勉強することがとても大事


根本的幸福は、思考ではない。まったく逆。思考が落ち着いてきたときに、根本的幸福に入れる。なので理論に時間を費やし過ぎると逆効果。禅の教えで、何も言わずにただ座れ、みたいなのがあるけど、まさしくその通りなんだと思う。




まあでも話を聞いて学ぶこともある。満たされた心、根本的幸福感に入ると、価値観がこれまでとかなり変化する。ライフスタイルや友人関係も変わる。物覚えが悪くなった感じもするので、多くの人は「自分の頭がおかしくなったのかもしれない」と心配するそうだ。先に根本的幸福感に入った人たちの話を聞くことで、自分がおかしくなったわけではないということが分かる。そういうメリットがある。


僕もFinders Courseを始めてから、かなり意識状態が変わってきたように感じる。なので自分が主催する私塾で、根本的幸福感に入ってそうな人を集めて、根掘り葉掘り聞いてみることにした。

あの人はなぜゴキゲンなのか 根源的幸福感の秘密を探る 湯川塾49期